芸術家としての私の体内には、「見ること」が奪われないものが住み着いている。それは自己の中の他者性である。その他者性は、作品の観客となり、時に厳しい批評家となって絶妙な距離をとって、しかも身近にいる。この他者性からはいかなる外的要因が起ころうとも、「見ること」は無論いかなるものも奪うことはできない。

河口龍夫

河口龍夫

写真提供:慶應義塾大学アート・センター 撮影:村松桂(株式会社カロワークス)